老いの何だか切ない日々のポエム画廊喫茶

朝起きて今日一日が始まるコーヒーを淹れるときめき。残りの人生、毎日全力投球。

俳句「猫の恋」


 ため息の横顔しずむ猫の恋
 食べつつも聞き耳立つる猫の恋
 寝てゐてもガバと起きたる猫の恋
 呼び来る小さき一声や猫の妻
 押しかけるものもありけり猫の恋
 毛繕ひし合ふひととき戯れ猫
 喜びの目の耀きや春の猫


季語「猫の恋」の傍題はたくさんあります。
猫の夫、猫の妻、浮かれ猫、猫の契、猫さかる、春の猫、戯れ猫、通ふ猫など。
飼ってた時のこと思い出して詠みました。
とても臆病な茶トラの雄でした。男っぷり?のいいとは、ちっとも思えない頼りない感じでした。いつも近所の雄の老猫に、大きな声で鳴くだけで追いかけられては逃げ帰ってしまう猫でした。😂強い猫は滅多にギャーギャー鳴きません。
そんなナサケナイ猫なのに、どういうわけか数匹の雌猫からアタックされてたようです。毎日やって来るのもいました。猫の出入り口から入って来たこともあります。威嚇を繰り返し、何とか追い払っていました。猫も誰でもいいわけではないようです。好みがあるようです。
近所の白と薄茶のブチの雌と成立したようです。
気配を感じると、カリカリを食べてる途中にカリカリを蹴散らして飛び出して行ったこともしばしです。
猫もため息をつくのか、逢えない時はさびしそうでした。たしかに小さなため息をつきました。
彼女の声がすると、一目散に飛び出し、連れ添ってすぐ裏の狭いところで毛づくろいをしあって戯れていたようです。
一番しあわせな頃だったでしょう。もったいないような、品のいいお姉さんみたいな彼女でした。
亡くなったのがわかるのか、亡くなった日に「ニャーン」と小さく家の前を通りました。
お別れに来てくれました。
しばらく経って、自転車で出かけて行く時に、その彼女だった猫にすれ違いました。その時、歩いてた彼女が立ち止まって振り向いたのです。
きっと猫の匂いがしたのでしょうね。