秋でもないのに
二杯目のコーヒーを淹れて
遠い若き日を振り返っている
まだ18の秋の頃だった
毎日が楽しくて仕方のない歳だった
会社が終わると 街を彷徨うようになっていた
働き始めて間もない頃だから
街が物珍しさで溢れていたから
田舎の街でも僕には都会に思えた
好奇心いっぱいだった
ショーウインドーを覗いたり
商店街を歩くことが楽しかった
喫茶店に行き始めた頃でもあった
燐寸を集めることが趣味となっていた
初めて見る店の「喫茶」の看板を見つけると
もうすぐに入ってみたくなったものだ
ふかすだけの 覚えたタバコ
ショートホープがお気に入りだった
百円で二つ買えた
そんな秋の日に流行っていた
会社のラジオからもよく流れていた
秋なのに「秋でもないのに」
澄んだ声が 秋にふさわしい
このブログへのコメントは muragonにログインするか、
SNSアカウントを使用してください。