老いの何だか切ない日々のポエム画廊喫茶

朝起きて今日一日が始まるコーヒーを淹れるときめき。残りの人生、毎日全力投球。

かきの花の勘違い

 かきに赤い花さく 
 いつかの あの家
 ゆめに帰る その庭
 はるかな むかし
    (作詞:古関吉雄)


この「思い出」という歌は、僕の時代の小、中学でも習わなかったように思う。
でもいつしか覚えて口ずさんでいたのは、姉か近所のお姉さんかがよく歌ってて耳にしていたのだろう。ラジオでも時々流れていたのかもしれない。
耳で覚えていたから、僕はずっとこの花は「柿の花」と思っていた。
見たことはないが、柿の木の中には赤い色の花を咲かせる木があるのだろうか?と、疑問に思いながらもずっと最近まで「柿に赤い花咲く」と口ずさんでいた。ところが、調べて見るとそれは、柿ではなく、垣のことだった。垣根のことだったのだ。
何というお目出度いお間抜けでしょう。
全然ちがうけど、味わいのある別の歌詞があったので載せてみました。


(伊藤武雄作詞)
よく訪ねてくれたね よくまあねえきみ
よく訪ねてくれたね さあさあかけたまえ
きょうまでの出来事を みんな話そうお互いに
よく訪ねてくれたね さあさあかけたまえ


そんなわけで、柿の花とは関係ないのだけど、もう長年の勘違いが染みついてしまっていて、柿の花の頃には自然と浮かんで来るメロディなんです。
毎年、柿の花が咲く頃を忘れないように気をつけてはいるけど、ついうっかり時期を逃してしまう年もあります。
「そうだ。柿の花が咲いてる頃だ。」と柿の木を探しに行って見ると、もうどこにも見当らず、遅かったという年もあります。
それでも諦めきれずに、どこかにまだ咲いてはいないかと別な場所を探す。
そして枝にわずか咲き残ってるのを見つける。
でも、それは柿の花の形をとどめているだけ。
もうすっかり枯れて、茶色になっている。
この時の切なさったらありゃしない。


 柿の花 錆びて故郷の また遠く