老いの何だか切ない日々のポエム画廊喫茶

朝起きて今日一日が始まるコーヒーを淹れるときめき。残りの人生、毎日全力投球。

喫茶店の想い出

まだ酒の味を知らなかった頃
会社帰りに喫茶店に寄ることを覚えた
当時120円ほどだったろうか
家で飲むインスタントとは味も香りも違うし
何といっても雰囲気が違った
家の卓袱台やこたつの上にカップを置くのとでは
間接照明の雰囲気など
わが家にあるわけがなかった
しいて上げれば裸電球
風呂場の消し忘れ


壁のモダンな洋風な柄
掛かってる絵は重厚な油絵
わが家の部屋のどこにも壁紙なんか貼ってない
でも和風な壁紙と言えなくもない
古風な柄のふすまの部屋
しかもどこかに穴が開いていた
土壁か漆喰の壁に絵など飾ってない
商店の名前のあるカレンダー
額も無くはなかった
祖父母の遺影


かかってる音楽も違った
初めて聴くクラシック音楽
何も知らなかったけど
雰囲気に酔っていた
いつも一人だった
それは内緒にしておきたい
秘密基地のような気持ちだった
気に入った喫茶店で
ふかすだけのタバコの煙を見つめ
コーヒーを味わった
まだブラックなんかとんでもなくて
角砂糖を三つは入れていた
ピッチャーのミルクもたっぷりと


会社の同じ歳の子と
一二度あるくらい
国東から汽車とバスを乗り継いで
二時間かけて来ていた
胸にあるスナップ写真が懐かしい
いつまでも褪せることがない
そんな彼女も
今はおばあちゃん




喫茶店の片隅で 松島詩子


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